2010年代のアニソンフェスを振り返る連載企画第2弾。
今回は第1回で紹介しきれなかった「首都圏で開催されたアニソンフェス」を一気に取り上げていきます。ゲーム音楽や美少女ゲーム音楽のフェスも混じっていますが、そのあたりは切っても切れぬ関係なのでお気になさらず。それでは一気に見ていきましょう!
第1回:首都圏フェス編 その1
第2回:首都圏フェス編 その2(ここ!)
第3回:地方フェス編
第4回:レコード会社&事務所主催編
番組主催のアニソンフェス
アニソン!プレミアム!Fes
NHK BSプレミアムのアニソン番組『アニソン!プレミアム!』が主催するフェス。『アニソン!プレミアム!』は2018年の年末特番として放送され、2019年4月からクールごとにレギュラー放送になりました。これまで2018年と2019年に1回ずつ開催されています。ライブの模様は特番として放送されました。
フェスではありますが、NHKの他のイベントに漏れず、観覧はチケット購入ではなく無料の抽選応募のみ。なので行きたくても行けないという人も多かったはず。
アニぱら音楽館 EXTREME LIVE
『アニぱら音楽館』は2001年から2017年まで放送された長寿アニソン番組。番組内でもライブコーナーがメインでしたね。
ライブは2002年から行われていましたが、当初は番組の公開収録というかたちでした。EXTREME LIVEと銘打ち始めたのは2005年の第5回からで、2012年の第9回まで不定期に開催されました。影山ヒロノブ、遠藤正明、サイキックラバー、きただにひろしなど男性出演者が多かったのも特徴ですね。セトリはWikipediaにも載っていますよ。
2015年には女性出演者を集めた「SPLASH LIVE! GIRLS SUMMER 2015 produced by アニぱら音楽館」も開催されましたね。atsuko(angela)、織田かおり、下川みくに、近江知永、StylipS、田所あずさ、田辺留依などが参加していました。
ミュ〜コミ+プラス presents アニメ紅白歌合戦
ニッポン放送の人気番組『ミュ〜コミ+プラス』のイベントとして2012年から2017年まで代々木第一体育館で毎年開催。「ミュ〜コミ+プラスがやりたいことやっちゃう夢の一日!歌あり!トークあり!企画あり!」という触れ込みで行われ、ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記アナとスフィアが司会となり、赤組と白組に分かれてパフォーマンスを行いました。
赤組と白組に分かれているにもかかわらず明らかに女性出演者の方が多かったのはいまいち解せないところではあります(笑)。男性出演者はSuGやMUCC、KEYTALKなど普通のアニソンフェスでは見ないようなアーティストが選出されてたりしてましたね。あと浅沼晋太郎を便利に使いすぎではないかと思ったりもしました。
また番組イベントでもあるので、番組内コーナーの「変態音響監督」も行われていましたね。
COMCHA FES
文化放送の人気アニソン番組『こむちゃっとカウントダウン』が主催するライブイベント。2011年に渋谷O-EAST、2014年、2017年に日比谷野外大音楽堂で開催されました。
パーソナリティの櫻井孝宏と井口裕香のほかに、鈴村健一、水瀬いのり、angela、茅原実里などこむちゃファミリーの面々が多く出演しました。このフェスの一番の注目点は、普段は歌わない櫻井孝宏がライブパフォーマンスを披露していることだと思うんですよ。こむちゃのオリジナル曲って結構いい曲多いですよね。
Anison Days Festival
BS11で2017年から放送されているアニソン番組『Anison Days』。森口博子と酒井ミキオとゲストアーティストによる軽快なトークと、楽曲の魅力を引き出す生ライブが評判の番組です。
番組主催イベントとして2018年10月に新宿BLAZEで、2019年5月に『Live「Anison Days」Day1』としてシアター1010で、2019年9月に新宿文化センター大ホールでイベントが行われています。MCの2人のほかに、オーイシマサヨシ、鈴木みのり、TRUE、亜咲花などが出演しました。オーイシさんは今のところ皆勤賞ですね。
鶴松屋フェス
TRUEとアナウンサーの八木菜緒によるラジオ番組『鶴松屋』によるトークライブイベント。2017年11月24日にTSUTAYA O-EASTで行われました。
出演はTRUE、八木菜緒、茅原実里、PENGUIN RESEARCH。TRUEさんのライブのバックバンド「鶴の音楽隊」も引き連れての生歌披露でした。八木アナの歌の上手さに驚いている人も多かった。
アニソン・ハンター SPECIAL LIVE!!
BSフジで2014年10月から2015年9月まで放送されていたアニソン番組が主催したフェスで、2015年10月に品川インターシティホールで行われました。なぜ番組が終了した後にフェスをやったのか。
出演はパーソナリティを務めていた浅沼晋太郎、芹澤優、坂本英三のほか、i☆Ris、AMG坂本歌劇団、きただにひろし、佐咲紗花、ZAQ、田所あずさ、春奈るな、Yun*chiが出演。AMG坂本歌劇団はこの番組で結成された新人ユニット。何名かは今も声優として活躍しています。
現在BSフジでは『アニソンラバーズ』という後継(?)アニソン番組が放送されていますが、そちらもフェスとかやるんですかね。
APTEMI∑ FES-アルテミスフェス
テレビ朝日系列で放送中の『musucるTV』が後援として2017年3月にEXシアター六本木で開催。出演は鈴木このみ、TRUE、西沢幸奏、川村ゆみ、Lyn、佐々木李子。
ペルソナシリーズを歌うお二人がフェスに出演するのは珍しかった。ただ平日の19時開催のフェスということもあって、当日スタンディングからシート席に変更になったりと、客入りはなかなか苦戦してしまいましたね。
MUSIC B.B.Presents『アニソン B.B.』
1999年から全国31局で放送中の老舗音楽番組。ブレイク前のアーティストを主に取り扱い、飯田里穂や逢田梨香子もナビゲーターを務めていました。2017年12月に番組主催の音楽フェスとして10年ぶりに復活。アニソンに特化したのはこの時が初めてでした。
第1回はTSUTAYA O-EASTで開催し、aki、飯田里穂、河野万里奈、鈴木このみ、TRUE、新田恵海、春奈るな、むらたたむ、Raychellが出演。
第2回は2018年7月に同じ会場で行われ、逢田梨香子、aki、亜咲花、綾野ましろ、いとうかなこ、小野早稀、大西亜玖璃、高柳知葉、河野万里奈、上月せれな、邪神ガールズ、春奈るな、三浦祐太朗、むらたたむ、レディビアードが出演。2回目はアニソンフェスとしてはだいぶ珍しいメンツになってましたね。
ライブダムカンパニー「BLAZING SONIC 2017」
ネット番組『ライブダムカンパニー』が2017年に主催したアニソンフェスイベント。吉岡茉祐、田中美海、小林竜之、青山吉能、青木志貴、亜咲花、VALSHE、シークレットでMAHO堂が参加しました。MAHO堂はさすがにサプライズすぎました。LIVE DAMのイベントということもあり、カバー曲が多めのイベントでしたね。
その他アニソンフェス
ANI-CUBE
オーイシマサヨシが主催したアニソンイベント。オーイシさんがアニソン業界にどっぷり浸かり始めたくらいに行われ、第1回が2015年1月、第2回が2015年7月に開催されました。Tom-H@ckや岸田教団のichigo、A応P、鈴木このみ、RABなどが出演。オーイシさんが忙しくなってしまったからか第3回は開催されていませんが、(TMRのイナズマロックみたいな)アーティストが主催するフェスって貴重だし、視点も違うので色々やってほしいなと思います。
A-POP PLUS
アニメ専門チャンネルのAT-Xが主催する音楽フェスで、2015年に開催されました。出演者は石田燿子、玉置成実、ChouCho、鈴木このみ、鷲崎健(MC)。フェスでは珍しく昼夜2回公演で、昼の部を「HEROINE STAGE」、夜の部を「HERO STAGE」としてセトリも変えて行われました。
2016年1月には「LIVE A² 2016 -アニぱら音楽館×A-POP PLUS-」という名前の通りアニぱら音楽館とタッグを組んでのライブも開催されましたね。
DESTINY CALLING Vol.1 ‐アニソン meets ロック !!!‐
2015年10月に新木場Studio Coastで開催。タイトル通りアニソン×ロックという組み合わせのライブイベントで、米倉千尋、妖精帝國、YOFFY(サイキックラバー)、Fuki、NoBといった実力派アーティストやアニソンDJが出演しました。
アニ☆ソン! NO ANIME, NO LIFE.
タワーレコードの「NO ANIME, NO LIFE.」キャンペーンの一環として、2013年5月に渋谷O-EASTで開催されました。タワレコ初のアニソンイベントで、上坂すみれ、三澤紗千香、南里侑香、ALTIMAの4組が出演。
ライブイベントはこの1回のみでしたが、アニサマテーマソングを専売したり、アニソン関係者のトークイベントを開催したり、タワレコはアニソンとの関わりを強くしていますよね。
声優グランプリ presents ライブグランプリ
老舗声優雑誌「声優グランプリ」が主催したライブイベントで、2019年5月に恵比寿ガーデンルームで開催。アニ☆ゆめproject、Kleissis、NOW ON AIRの3組の新人声優ユニットが集まりました。声優雑誌が主催する音楽フェスはおそらくこれが初めてだったんではないでしょうか?
ゲーム音楽フェス
PRESS START
桜井政博、野島一成、植松伸夫、酒井省吾、竹本泰蔵の5名が企画者となって行われたゲーム音楽のオーケストラコンサート。2006年から2015年まで毎年行われ、『ファイナルファンタジー』『星のカービィ』『マリオブラザーズ』『世界樹の迷宮』『大乱闘スマッシュブラザーズ』『ポケットモンスター』など数多くのゲーム音楽が披露されました。
近藤浩治、小林啓樹、甲田雅人、古代祐三、田中公平、下村陽子、なるけみちこ、椎名豪、桜庭統といったゲーム音楽好きなら知らない人はいないであろう面々もゲストとして登場するなど、オーケストラ好きにも、ゲーム音楽好きにとっても魅力的なコンサートでした。2015年に演奏された「PRESS START さよならメドレー」は、桜井政博曰く各方面からの演奏許可を取る "許諾地獄" だったそうですが、27曲もメドレーにしていたらそれはそうなるよなぁと。
JAPAN Game Music Festival
ゲームメーカー、ゲームサウンド制作会社が一堂に会した音楽フェス。PRESS STARTと異なるのは、オーケストラではなくバンドサウンドに特化している点ですね。2013年にZepp Tokyoで、2018年にディファ有明で開催し、ZUNTATA、Lien、菊田裕樹、伊藤賢治、岩垂徳行、Crush40、Falcom jdk BANDなどが出演しました。
2019年からはスピンオフ企画である対バンライブ「FACE to FACE」が開催されました。定期公演に向けた動きもある感じなのかな?
4starオーケストラ
株式会社2083が企画する、2011年から4年に1度開催されているゲーム音楽の祭典。様々なゲーム音楽がオーケストラで演奏され、植松伸夫やなるけみちこ、菊田裕樹、光田康典、岩垂徳行、古代祐三、柳川和樹なども参加しています。演奏される作品は『メルルのアトリエ』『MOTHER2』『UNDERTALE』『ファイナルファンタジーシリーズ』『キングダムハーツ』『塊魂』などバラエティ豊かで、2015年の公演では複数会場で演奏が行われたりもしました。
2017年にはバンドフェス「Return to 4star」も開催。こちらは再来年も開催されるでしょうか?
SUPER GameSong LIVE
アニサマを主催するMAGES.と文化放送が共同主催したゲームソングライブイベント。2012年にパシフィコ横浜 国立大ホールで開催されました。
アーティストではなく作品がフィーチャーされ、アニサマ同様メーカーやレーベルの垣根を超えたライブイベントとなりました。作品の幅も広く、『アイドルマスター』『シュタインズ・ゲート』『サクラ大戦』といった王道なものから、『君が望む永遠』『夜明け前より瑠璃色な』『キラ☆キラ』『暁の護衛』といった美少女ゲームまで様々なタイトルの楽曲が歌われました。
Blu-ray化もされたのですが、2回目は行われずこの1回限りで終了したのは残念。今こういったフェスをやるなら、スマホゲームが中心になったりするのでしょうか?
#ゲフェス!~GAMESONG FESTIVAL
「ゲーソンを世界へ!」というコンセプトで行われたゲームソングに特化したフェスイベント。第1回は2019年7月に代官山UNITで行われました。出演はYURiKA、Suara、佐咲紗花、栗林みな実。
メンツから予想されるようにいわゆるギャルゲーや美少女ゲームの楽曲が多く歌われました。この手のフェスだと歌唱曲数は少なくなりがちですが、ゲフェスは1組あたり6~7曲披露されたのでその手の不満は無し。またYURiKAとSuaraで「WHITE ALBUM」を、佐咲紗花と栗林みな実で「Rumbling Hearts」をコラボするなど、絡み自体も十分ありました。2回目以降も行われてほしいですね。
美少女ゲーム音楽フェス
B.G.M Festival
bambooと佐藤ひろ美が発起人となって実現した美少女ゲーム音楽のライブフェス。B.G.Mは「美少女ゲームミュージック」の略です。bambooさんがメーカーの代表ということもあり、ライブの主役はアーティストではなく、あくまでもゲームメーカーであることが前面に押し出されており、アリスソフト、OVERDRIVE、CIRCUS、Navel、minori、ニトロプラス、フロントウイング、Keyなどが出演しました。
2011年4月にvol.0として試験的に開催され、2012年に9月に独自路線を貫くブランドを集めた「EDGE」、王道ブランドを揃えた「PRIMAL」、そして深夜に開催された「MIDNIGHT PARTY」の3公演を開催。私は全公演に参加しましたが、深夜のチュパ音No.1決定戦で腹を抱えて笑っていましたw
またEDGEとPRIMALの開場前には電気外祭りとのコラボレーションとして、物販や屋台の出店、野外ステージでのライブも行われました。
採算度外視だったこともあってか、vol.2以降は開催されませんでしたが、「こういうことをやりたいんだ!」と周りを巻き込んで実現していったbambooさんは本当にすごいと思います。ちなみにB.G.Mの名前は次に紹介するライブにとある事情で引き継がれることになります。
P.C.M Live!(現B.G.M Live!)
美少女ゲームソングシンガーのAyumi.(旧オリヒメヨゾラ)が発起人となって行われたライブフェス。「B.G.M Festival」がゲームメーカーを主役にしているのに対し、「P.C.M Live!」はPCゲームのアーティストが主導するというコンセプトになっています。
2011年から2018年まで毎年開催され、これまでAyumi.、佐藤ひろ美、橋本みゆき、霜月はるか、榊原ゆい、大島はるな。ave;new feat.佐倉紗織、はな、佐咲紗花、Ceuiなどが出演。2017年の大阪公演はクラウドファンディングで開催資金を集めたり、PCゲーム業界の新人歌手を育成するために自薦・他薦を問わず出場してほしい歌手を募集したり、かなりユーザーと目線が近いイベントだったなと思います。
ちなみに2015年に「P.C.M. Live!」という名前が他社の商標侵害となるとして、名称を「B.G.M Live!」に変更したという経緯があります。Ayumi.さんはbambooさんに「B.G.M」の名前の使用許可を得ているので、そこに関しては問題ありません。
2016年からは、音泉で「美少女ゲームMUSIC ON AIR!」という美少女ゲームミュージックを盛り上げるためのラジオ番組が放送中。最近のB.G.M Live!のツイッターはラジオの更新botになっているので、何かしら今後の動きがあるといいのですが…。
EGG -Extra Games Garden
2015年から開催されている美少女ゲームメーカーの合同ライブ。通常のメーカー同士の持ち出しでは資金面で定期開催が難しくなるため、初回からクラウドファンディングを利用しながらライブが開催されています。第2回は2016年、第3回は2018年に行われました。
「B.G.M Festival」と同じくゲームブランドが主導となるフェスで、CIRCUSやNavel、Lump of Sugar、SAGA PLANETS、ぱれっとといったベテランブランドの他に、まどそふとやAzurite、eRONDOといった新興メーカーも参戦するなど、結構バランスの取れたラインナップでした。あと、ライブのテーマソングのクオリティがとても高くて個人的には気に入っています。
このフェスに出演したいくつかのメーカーが倒産していたりもするので、定期開催のハードルはなかなかに高いんだろうなというのはひしひしと感じてしまいます。第4回は是非とも開催してほしいですが、果たしてどうなるでしょう。
首都圏アニソンフェス紹介でした。これでもまだ半分ですよ、皆さん! 次回は地方フェスを紹介します。